No.21
2024/11/16
人材不足を解消?雇用・人材に関する助成金!
こんにちは!
名古屋をはじめ、愛知、岐阜、三重を中心に経営コンサル、組織コンサルそして補助金申請サポートを行う株式会社マツリブの三浦です!
今回はタイトルにもあります「人材不足」を解消する助成金に関してです。
当社のお客様にはモノづくりを行う製造業・生産業をはじめとする企業が多くいます。
業界的にも人材不足に直面している事もあり、訪問時にご相談を頂くこともあります。
今回はそんな人材不足を少しでも解消できるきっかけになればと思います。
雇用調整助成金とは?
雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を助成する制度です。
【注意点】
厚生労働省から出ている助成金の申請は、社会保険労務士のみ代行申請が可能です。
本ブログを見て、自社も対象なのでは?と思った方は、お抱えの社労士さんにご相談ください。弊社にご相談いただいても問題ありませんが、その場合は提携している社労士さんをご紹介いたします。
※自社で申請することはできます。
※弊社にご依頼いただいた場合、提携先の社労士をご紹介いたします。
企業は、経済全体の枠組みの中で事業活動を行っている以上、その事業活動が景気変動の影響を受けることは避けられません。しかし、外部環境が変化したからといって直ちに解雇等の人員整理を行うことは難しいでしょう。企業活力の維持という点からもデメリットが生まれます。
社会全体としてみても、雇用不安が消費を一層冷え込ませ、景気の回復を更に遅らせることとなりかねません。
労働者を退職させずに、休業、教育訓練、出向させたりするなどの措置を行い、雇用維持を図ることは、労使双方にとってメリットがあり、企業活動を維持し、将来の発展へとつなげていく上で重要だといえます。
これらより、事業活動の縮小機でも雇用維持を促すため、雇用調整助成金があります。
具体的には、「休業、教育訓練、出向」について支援されます。これらは具体的には下記です。
〇休業
生産量の変動に機動的に対応する場合や、比較的短期間のうちに生産量の回復が見込まれている場合
〇教育訓練
事業活動の縮小期を活用し、通常の教育訓練では実施できなかった、従業員に対して新たに必要となる技術の付与、レベルアップを図り、労働者の職業能力の一層の向上を図る場合
〇出向
他の事業主の業務に一時的に従事させることによって雇用維持を図る場合
雇用調整助成金の申請条件
受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
(1)雇用保険の適用事業主であること。
(2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。
(3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。
(4)実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。
〔1〕休業の場合
労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。(※1)
※1 事業所の従業員(被保険者)について1時間以上実施されるものであっても可。
〔2〕教育訓練の場合
〔1〕と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであること(※2)。
※2 受講者本人のレポート等の提出が必要です。
〔3〕出向の場合
対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。
(5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。
ただし、令和6年4月1日以降に対象期間の初日がある事業主の場合、前回の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年間ではなく、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して一年を超えていること。
雇用調整助成金の受給額
受給額は、休業を実施した場合、事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合、賃金負担額の相当額に次の助成率を乗じた額です。
また、教育訓練を行った場合は、1人1日あたり以下の加算があります。(上限の基準有り)
休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。
出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます。
企業の規模 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
中小企業 | 2/3 | 1,200円 |
大企業 | 1/2 |
製造業におすすめ!産業雇用安定助成金とは?
産業雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなう経済上の影響を受けて、在籍型出向を活用して雇用の維持を図る事業主を支援する目的で創設されました。
令和6年10月現在、運用されているのは「産業連携人材確保等支援コース」と「スキルアップ支援コース」の2コースがあります。
スキルアップ支援コース(令和4年12月創設)
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い創設されたコースです。
「在籍型出向」は自社にない実践での経験による新たなスキルの習得が期待できます。
労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、復帰した際の賃金を出向前と比較して5%以上上昇させた事業主(出向元)に対して当該事業主が負担した出向中の賃金の一部を助成するものです。
産業連携人材確保支援コース(令和5年11月創設)
フターコロナへと移行した現在においても引き続き、様々な社会情勢に対応していく為に設立されたのが、産業連携人材確保支援コースです。 景気の変動、産業構造の変化その他の理由で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に資する取組等を行うため、当該生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するものです。
産業雇用安定助成金の申請条件
スキルアップ支援コース
・労働者のスキルアップを目的として実施すること
・出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことを前提であること
・労働者の出向復帰後6か月間の各月の賃金を出向前賃金と比較していずれも5%以上上昇させること。等の要件があります。
産業連携人材確保支援コース
対象事業者
・「事業再構築補助金」または「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の事業計画書の申請を行い、当該ものづくり補助金の採択および交付決定をうけていること
・生産量(額)、販売量(額)または売上高等事業活動を示す指標が事業再構築補助金またはものづくり補助金の事業計画書の申請日の属する月の前々々月から前月の3か月間の平均値が、前年同期(雇用保険適用事業所設置後であって労働者を雇用している場合に限る。)に比べ10%以上減少していること
・下記の【労働者】の雇入れにあたって、次のa~cまでの全ての条件を満たすこと
a. 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れること
b. 期間の定めのない労働契約を締結する労働者(パートタイム労働者は除く)として雇い入れること
c. 事業再構築補助金またはものづくり補助金の補助事業実施期間の初日から当該期間の末日までに雇い入れること
・下記の【労働者】の雇入れ日前6か月から本助成金の支給申請までの期間に、雇用する労働者を解雇等していないこと
・雇入れに係る事業所で受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標が事業再構築補助金またはものづくり補助金の事業計画書の申請日の属する月の前々々月から前月の3か月間の月平均値が前年同期に比べ5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)減少していないこと
対象労働者
「事業再構築補助金」または「ものづくり補助金」の交付決定を受けた事業に関する業務に就く者であって、次の1と2に該当する者
⒈次のaかbのいずれかに該当する者
a. 専門的な知識や技術が必要となる企画・立案、指導(教育訓練等)の業務に従事する者
b. 部下を指揮および監督する業務に従事する者で、係長相当職以上の者
⒉ 1年間に350万円以上の賃金が支払われる者
産業雇用安定助成金の受給額
〇スキルアップ支援コース
中小企業 | 中小企業以外 | |
助成率 | 下のいずれか低い額に助成率をかけた額 イ 出向労働者の出向中の賃金 ロ 出向労働者の出向前の賃金の1/2の額 | |
助成額 | ||
上限額 | 8635円/1人1日当たり(令和6年8月1日現在) (1事業所1年度あたり1,000万円まで) |
◯産業連携人材確保等支援コース
中小企業 | 中小企業以外 | |
助成額 | 250万円/人 | 180万円/人 |
助成対象期間 | 1年 | |
支払い方法 | 125万円×2期 | 90万円×2期 |
組織のレベルアップに最適!人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
令和6年10月現在、運用されているのは以下の6コースがあります。
人材育成支援コース
事業主が雇用する労働者に対して、その職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度
教育訓練休暇等付与コース
自発的な教育訓練を受けるために必要な教育訓練休暇を労働者に与える教育訓練休暇制度を企業に導入し、労働者が実際に教育訓練休暇を取得した場合に導入経費と教育訓練休暇中の賃金の一部を助成するもの
人への投資促進コース
事業主が雇用する労働者に対して、事前に作成した計画に沿って職務に関連した訓練を実施する場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度
事業展開等リスキリング支援コース
企業の持続的発展のため、新製品の製造や新サービスの提供等により新たな分野に展開する、または、デジタル・グリーンといった成長分野の技術を取り入れ業務の効率化等を図るため、
①既存事業にとらわれず、新規事業の立ち上げ等の事業展開に伴う人材育成
②業務の効率化や脱炭素化などに取り組むため、デジタル・グリーン化に対応した人材の育成に取り組む事業主を対象に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を高率助成により支援する制度
建設労働者認定訓練コース
認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合の訓練経費の一部や、建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合の訓練期間中の賃金の一部を助成
建設労働者技能実習コース
雇用する建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
人材開発支援助成金の助成額
人材育成支援コース
◇対象者
事業主:雇用保険適用事業所の事業主
労働者:雇用保険被保険者
◇訓練
①人材育成訓練:10時間以上のOFF-JTによる訓練
②認定実習併用職業訓練:新卒者等のために実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
③有期実習型訓練:有期契約労働者等の正社員転換等を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練
教育訓練休暇等付与コース
事業主以外が実施する教育訓練、各種検定(職業に必要な労働者の技能及びこれに関連する知識についての検定)又はキャリアコンサルタントのことをいいます。
そのため、これらを受けるために必要な休暇が教育訓練休暇となります。
なお、この教育訓練休暇は、労働基準法第39条の規定による年次有給休暇とは異なるものをいいます。OJTや業務命令で受講させる訓練や各種検定、業務命令によるキャリアコンサルティングは助成金の対象となりません。
人への投資促進コース
企業における労働者の人材育成を強力に支援するため、国民の皆さまからのご提案をもとに、令和4~8年度の期間限定助成として、以下の5つのメニューを創設。
定額制訓練 | サブスクリプション型の研修サービスによる訓練の実施 |
度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練 | 度デジタル人材等の育成のための訓練の実施 |
情報技術分野認定実習併用職業訓練 | IT分野未経験者の即戦力化のための訓練の実施 |
自発的職業能力開発訓練 | 労働者が自発的に受講した訓練費用を負担 |
長期教育訓練休暇等制度 | 働きながら訓練を受講するための休暇制度等を導入 |
事業展開等リスキリング支援コース
- 助成対象とならない時間を除いた訓練時間数が10時間以上であること
- OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること
- 職務に関連した訓練であって以下のいずれかに該当する訓練であること
ⅰ 企業において事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練
ⅱ 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識及び技能の習得をさせるための訓練
建設労働者認定訓練コース
建設労働者技能実習コース
建設労働者認定訓練コース
建設労働者技能実習コース
いかがだったでしょうか?
日本は少子高齢化の影響もあって今後、人材不足はさらに深刻な課題となります。
外国人労働者の導入を積極的に国が進めていますが、なかなか上手くいかないと言う声も聞きます。
人材不足で企業が成り立たないケースもあれば、人材不足で採用したいが業界的に希望される賃金を支給できない・・そんなケースもあります。
今回、人材に関する助成金を紹介しましたが、実際に申請しようとしても申請書類の段階で困るケースもあります。地方自治体で申請サポートなどを行なっている所もありますので、市役所や商工会議所のホームページを見てみるのも良いかもしれません!