No.16
2024/07/02
補助金の採択率向上に不可欠!申請書の書き方の秘訣とは?
こんにちは!名古屋、愛知、岐阜にて経営コンサルティング、補助金コンサルティング、組織コンサルティングを行う株式会社マツリブの祭田です!
今回は「補助金申請を(残念ながら)コンサルに依頼することなく自分でやるんだ!」という方向けにブログを書きたいと思います。
2024年時点で当社は8年間補助金申請に取り組んできた実績がございますが、隠すことなく正直に書いていきたいと思います!
補助金申請への取り組み方について
「補助金」と聞くと、ラッキー!とか返さなくていいお金!とかそのようなイメージが沸くと思います。多くのご相談にのってきて、そんなイメージが先行しているな~と実感する毎日です。
ただ、補助金申請する前に知っておいてほしいことがあります。補助金申請にはデメリットが存在します!
【デメリット①】手続きがとてもめんどくさい
時間が取られます。補助金申請しているよりも本業でばりばり稼いだ方が稼げるし、未来につながるという可能性があります。
補助金をもらうまでの手続きも大変ですが、もらったあとの手続きも大変です。
良く分からない補助金用語が全開の公式の手続きマニュアルを見ながら取り組む。
分からなくて事務局に連絡してもそっけない対応でもうよくわかんないまま提出したら、修正盛りだくさんで返答が返ってくる・・。
みたいなことをやっていると、「なんのための補助金?」と自問自答したくなることでしょう。
【デメリット②】商機を逃す可能性あり
補助金をもらおうとすると、補助金制度にもよりますが、基本的に採択され、交付決定を受けた後に注文したものしか補助対象になりません。
申請の準備から考えると6カ月~8カ月後にようやく発注できるようになります。
すぐにはやりたい事業を開始できないのがネックです。
しかし、ビジネスはタイミングが命といっても過言ではないです。
例えばコロナ期に、キャンプが流行りました。密を避けたレジャーとしてウケたのだと思います。
キャンプグッズが飛ぶように売れ、グランピングというホテルとキャンプの中間のようなサービスが流行しました。
そういうタイムリーなビジネスにチャレンジする場合、補助金を活用しようとすると機を逃す可能性があります。
しかも半年経つと、半年前に買おうと思っていたよりも良い設備が出たり、ちょっと異なるバージョンの設備の方が合うといったりすることがあります。
2024年6月現在キャンプ・グランピング市場は、もう密を避ける動きは少ないため、個別というよりは10名前後のグループで受け入れできる施設の人気が出てきています。
そういった細かい仕様変更も補助金を活用する場合は、変更が利かない場合がほとんどです。
※実際キャンプ・グランピングはコロナが明けてから需要が落ち着いています。補助金申請せずに、顧客ニーズに合わせながら柔軟に事業展開したところが安定していると感じています。
【デメリット③】賃金アップなどの申請要件に後々から後悔
ものづくり補助金や事業再構築補助金の申請の仕方によっては、賃金アップに取り組む必要性が出てきます。
もちろんそれ自体は良いことだと思いますし、2024年6月現在では、賃金アップに取り組む企業は増えているようです。
ただし、補助金の要件と会社の都合は別です。
補助金をもらうには、「一度賃金アップをしたのに、もう一度上げる必要がでた!」とか、「想定以上に賃金アップしないといけなくなり、補助金と比べると人件費アップの分の方が多かった・・・」と言うお話をお伺いします。
他にも、「儲けまくったら一部返金ね」という制度がある補助金も多いです。
国や地方公共団体に認めていただいて、お金をもらうわけですから、そう簡単にはいかない。
そういう前提で補助金制度にチャレンジしていただきたいと思います。
補助金申請に取り組む前に準備すること
では、実際に補助金申請にチャレンジする際の準備事項をご紹介します。
- ①補助金申請要件に該当するか確認
- ②スケジュールの確認
- ③採択リストの似た事業をチェック
【準備①】補助金申請要件に該当するか確認
補助金申請は誰でもできるわけではありません。必ず「申請要件」が存在します。
- ・対象者
- ・対象事業
- ・対象経費
などなど、補助金毎に異なりますので必ずチェックしてください。
【準備②】スケジュールの確認
補助金申請において、要所のタイミングを明確にしておく必要があります。
各補助金や事業者さんの都合にもよりますが、おおよそ補助金申請の締切3カ月前から準備を進められるとスムーズに進めやすいです。
(ポイント)
- ・応募締切はいつなのか?
- ・(外部と協力して申請する場合)依頼を受け付けてくれる締切はいつか?
- ・採択発表時期はいつか?
- ・補助事業の期限はいつか?
- ・補助金入金のタイミングはいつか?
【準備③】採択リストの似た事業をチェック
狙う補助金の採択リストをチェックしてほしいです。
採択された事業者と事業計画名が一覧になったリストが大体の補助金に存在します。
これを見て、
- ・自分の考える事業はこの補助金のストライクゾーンに入るのか?
- ・同じような事業で採択を受けている事業計画名はどのような名前だろうか?
- ・自分の事業計画の肉付けのヒントになるかも?
そんなことを考えながらチェックしていただくと良いと思います。
※1年前だったり、半年前だったりと時期が若干ズレるので時流はズレていることを念頭においてほしいです。
補助金の採択率を上げるための秘訣
補助金の採択率を少しでも上げるためのポイントを記載していきます。
- ①加点を取る
- ②審査項目をおさえる
- ③事業計画書の指定項目をおさえる
- ④事業計画書の中身は「強み」を理解しPR
【採択率を上げる秘訣1】加点を取る
加点を取りましょう。
補助金制度毎に加点項目というのがあります。これは事業計画書の中身関係なく、この加点項目を満たしていれば審査にプラスされるというものです。
取っていればプラス、なければなし。これは取り得です。やった方がよいです。
もちろん中には取得が難しく、手間を考えると取捨選択もありうると感じる加点項目もありますが、基本的には取ってください。
下記はものづくり補助金の加点別採択率です。公式が出しているデータですね。
このように加点取得が0個の事業者と4個の事業者では27.0%の採択率の差がうまれます。
これは事業計画の中身と関係ない要素です。
【採択率を上げる秘訣2】審査項目をおさえる
審査項目を見ましょう。
「まだ事業計画書の中身の話じゃないの?」
「補助金に寄せた事業をやりたいわけじゃないんだ!」
「やりたい事業を素直に書く方がいいんじゃないのか!?」 そんなご意見もあると思います。
ただ、補助金制度にも目的があります。
- ・○○な事業者に成長してほしい。
- ・○○に取り組む事業者を応援したい。
そんな想いが審査項目には現れてきます。
また、補助金事務局には何千通と事業計画書が届きます。
あらかじめ「こういう事業者さんに補助金出します。」と公募要領を公開し、審査項目を明示しているのに、それらを無視して「俺らはこんな事業がやりたいぜ!」と事業計画書を作って送ったところで、詳細を読んでもらうのは難しいでしょう。
事業計画書を書く前に、審査項目や補助金制度の目的、成り立ちまで探ってもらえると良いと思います。
例えば・・
事業再構築補助金第12回の審査項目を見ると、「新規事業の有望度」という言葉が新しく追加されています。これは第11回にはありませんでした。わざわざ第12回から加えているわけですから、「新規事業の有望度」を無視して事業計画書を作ることは得策ではないと感じます。
【採択率を上げる秘訣3】事業計画書の指定項目をおさえる
さぁ、いよいよ事業計画書を作成していくわけですが、事業計画書自体にフォーマットがある場合がございます。それは必ずおさえましょう!
- 1)補助金事務局が出しているフォーマットがあるか?あればそれを使いましょう
- 2)事業計画書自体に指定があるか?(ページ数、フォントなど)
- 3)例など事業計画書の推奨する方向性はないか?
先ほどと同様に事業再構築補助金を例にみていきましょう。
1)についてですが、事業再構築補助金はフォーマットがないものの、表紙に指定があります。ご注意ください。
2)についてですが、指定はありません。ただし、公募要領P43(第12回公募要領 1.2版)から事業計画書に記載すべき内容が明示してあります。大枠だけ抜粋すると下記です。
- 1:補助事業の具体的取組内容
- 2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
- 3:本事業で取得する主な資産
- 4:収益計画
これらを主軸に事業計画を明示していくと良いでしょう。
【採択率を上げる秘訣4】事業計画書の中身は「強み」を理解しPR
ここまで丁寧に読んでいただいた方はお気づきだと思いますが、補助金申請で提出する事業計画書にはかなり縛りがあります。そのため、前述の審査項目や指定項目をおさえていくと、だんだんと書くべき事業計画が浮き彫りになってきます。
ここでは、それでも残った自由の部分では何を書くのか?という点を深堀していきます。
補助金制度の目的や時流を照らし合わせると、提出される事業計画書はある程度、似通ってくる可能性が高いでしょう。事業計画を検討する中小企業の経営者さんの頭の中では「オリジナルだ!」という想いがあるとは思うのですが、同じ時・同じ日本で・同じ人間が考えられる範疇では似通ってくると考えるのが妥当です。
つまり、ライバルが存在します。
いくら独自に思いついたビジネスモデルだとしても似た事業計画書を書いて提出してくる他者がいると思ってください。
それでも「絶対にここだけは他者と違うんだ!」「自分だけのものなんだ!」「自分にしか生み出せない!」そういうポイントを強くPRすると採択に近づけると感じます。
これはビジネスの本質につながるポイントだと思います。
もし、そういった独自性のポイントが思いつかないのであれば、その事業は辞めた方が良いでしょう。
ここで、少し宣伝ですが、そういった点をヒアリングや議論を通じて明確にしていくのが我々コンサルタントの仕事の一つといえるでしょう。
なぜかというと、会社の強みや事業の強みというのは事業者さん本人には見えにくいからです。
- ・意識せずとも当たり前にできる
- ・当然のようにこなしている
こういったところに強みが隠れているからです。
「意識してできていることは二流、無意識にできるのが一流だ。」
という言葉がありますが、まさに無意識にできてしまっているところに他者に真似できないポイントがあることが多いです。 もし今考えている事業の強みがいまいちつかめていないと感じる方は誰かに相談してみるもの一手だと思います。
マツリブ的に2024年注目の補助金事業
ここでは補助金申請サポートを行うマツリブが注目している補助金について紹介します。
すでに認知度が高く人気の補助金もあれば、新しく新設された補助金もあります。
事業再構築補助金第12回
第11回ではかなり採択率が落ちました。この傾向は続くと思います。狭き門になりましたが、それでも補助率は最大2/3の枠がまだあり、補助金制度の求めるものにマッチする事業を検討の方はチャレンジして損はありません。
https://jigyou-saikouchiku.go.jp
中小企業省力化投資補助金
今年新設された新たな補助金です。
IoTやロボットなどの付加価値額向上や生産性向上に効果的な汎用製品を「製品カタログ」から選択・導入することで、中小企業等の付加価値や生産性の向上、さらには賃上げにつなげることを目的とした補助金です。
いかがでしたでしょうか?
実際に補助金申請サポートをさせて頂いている弊社の目線で率直に書かせて頂きました。
補助金はほとんどが、年度初めに募集がかかります。おおよそ目新しい補助金は公開されたと感じています。
我々マツリブは既に来年に目を向けて準備を始めています。また次の補助金情報やあらかじめできる準備については別途ブログでご紹介したいと思います!